掠文庫『石川啄木詩集』
index
■はてしなき議論の後(一) NO.17
暗き、暗き曠野にも似たる わが頭脳の中に、 時として、電のほとばしる如く、 革命の思想はひらめけども―― あはれ、あはれ、 かの壮快なる雷鳴は遂に聞え来らず。 我は知る、 その電に照し出さるる 新しき世界の姿を。 其処にては、物みなそのところを得べし。 されど、そは常に一瞬にして消え去るなり、 しかして、この壮快なる雷鳴は遂に聞え来らず。 暗き、暗き曠野にも似たる わが頭脳の中に 時として、電のほとばしる如く、 革命の思想はひらめけども――
index