掠文庫
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 仲平は隠家に冬までいて、彦根藩の代々木邸に移った。これは左伝輯釈を彦 根藩で出版してくれた縁故からである。翌年七十一で旧藩の桜田邸に移り、七 十三のときまた土手三番町に移った。  仲平の亡くなったのは、七十八の年の九月二十三日である。謙助と淑子との 間に出来た、十歳の孫千菊が家を継いだ。千菊の夭折したあとは小太郎の二男 三郎が立てた。 大正三年四月                              (おしまい)
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